二端子測定では接触抵抗の影響を排除できず、精度確保が難しい場面もあります。この記事では、4端子コンタクトプローブに必要な機能、主要メーカーの製品特徴を紹介します。
4端子コンタクトプローブは、電流用と電圧検出用の端子を分離した「4端子測定法(ケルビン法)」に対応した測定ピンです。
従来の2端子測定ではリード線や接点の抵抗が結果に影響する一方、4端子方式では電流を流さないセンス端子で電圧を検出できるため、ミリオーム以下の微小抵抗やシート抵抗も高精度に評価できます。
特に、バスバーやEVバッテリー、超伝導材料のように低抵抗・大電流領域の精密測定が求められるシーンでは、誤差のない測定が可能となる不可欠な手段です。
4端子コンタクトプローブの基本性能として、フォース/センス両端子の安定接触が求められます。特に繰り返しの通電試験においては、接触抵抗の変動が測定精度に直結するため、接触構造の最適化が不可欠です。
たとえば、外バネ・内バネ構造の選定や、プランジャー部に銀合金・金メッキなどの高導電材を採用することで、酸化膜の影響や摩耗による劣化を抑制。再現性の高い測定を実現しつつ、長寿命設計により保守工数と運用コストの低減にも貢献します。
EV向けモジュールやパワーデバイス評価では、100Aを超える大電流通電が求められるケースが増加しています。
こうしたアプリケーションに対応するには、通電性能だけでなく、接触部の熱的安定性が極めて重要です。
銅合金など高熱伝導材を用いた断面設計や、温度センサーを内蔵したプローブにより、通電中の温度上昇やホットスポットをリアルタイムで監視可能。長時間運転時の信頼性確保や品質保証業務における測定再現性の担保が実現できます。
半導体ウェハや高密度基板の測定では、200μm以下の狭ピッチや多極構成での4端子対応が必要となります。このようなケースでは、端子間の絶縁確保やクロストーク抑制、機械的干渉回避を踏まえたプローブ設計が不可欠です。
たとえば、非磁性素材の活用や電磁シールド機構の最適化により、ノイズ耐性を高めたモデルを展開。さらに、ユーザー仕様に応じたピッチ調整・複数ピンのモジュール化などにも柔軟に対応しており、量産ラインから評価用途まで幅広い活用ができます。
高精度・大電流対応の同軸4端子プローブを多数揃える国内の専業メーカーです。
外スプリング式をはじめ、耐熱・非磁性タイプも標準化されており、車載や高温試験など幅広い用途に対応。特注設計にも柔軟で、形状変更やブッシュ材質選定も可能です。
量産対応を意識したコスト効率と短納期を実現するプローブメーカーです。
4端子スイッチ付きや大電流10Aモデルを標準化し、ソケット型や回転式などの多機構タイプを展開。ワイヤプラグ式で結線作業を効率化でき、試作から量産まで安定した供給を行っています
半導体ウェハ検査を軸に、110μmピッチ対応の極細ケルビンプローブを多数展開しています。プランジャー材の選択肢が豊富で、微細ピッチでも高精度な接触が可能。
高周波や高温対応にも強く、自動車部品や5G評価といった先端分野での導入実績があります。
NC旋盤による高精度加工を強みに、自社一貫体制で4端子用プローブを開発しています。高電流・高温・非磁性タイプなど6シリーズを展開し、先端形状20種以上を標準化。
ナノテクブラシとの併用により接点安定性を高め、長時間稼働ラインでも使用可能です。
最大600Aに対応する大電流4端子モデルを含め、ピッチ・電流・温度要件に応じた豊富なラインアップを持つ検査治具総合メーカーです。
選定チャートやRFQフォームが整備され、Eモビリティやインバータ評価向けに短納期対応も実現しています。
4端子コンタクトプローブは、高精度な微小抵抗測定や大電流対応が求められる現場に欠かせない測定ツールです。
安定性・耐久性・カスタマイズ性を見極め、自社の測定対象や治具に適したモデルを選定することが重要です。信頼性を重視するなら、まずは実績あるメーカーの製品から検討しましょう。
当メディアでは、用途ごとに適した国内メーカーを、各社の技術的な強みやサービス内容、選定時に押さえるべきポイントをわかりやすく紹介しています。自社の試験環境や検査ニーズに合った製品を見つける参考として、ぜひご活用ください。