大電流検査を行う際に、「発熱」や「スパーク」が発生することがあります。
「発熱」が起こるケースについては、電気抵抗によるジュール熱が主な原因であるといえます。例えば、プローブの内部抵抗や測定対象物(ワーク)との接触抵抗が大きい状態で大電流を流した場合に発熱が起こり、スプリングが劣化する、ワークが溶けるといった状況につながる可能性があります。
また「スパーク」は通電状態における接触分離や、接触が不安定な状態で電流を流したといったことが原因として考えられます。また、発熱が発生した際にワークのメッキや表面が溶融し、プローブが固着してしまう場合があります。このような状態になったときに無理矢理プローブを離した場合や、酸化膜・汚れなどが原因で接触不良が起こって小さな隙間ができた際にアーク放電が発生し、接点が焼ける・炭化するといった状況を引き起こす可能性があります。
このような状態を防ぐためには接触抵抗をできる限り下げることに加え、しっかりと接触を維持することが大切です。
許容電流値とは、規格上流すことができる最大の電流値を指します。この許容電流値を最大化するには、電気抵抗が高いスプリングに電流を流さないための工夫が求められます。もしスプリングを通じて電流を流れてしまうと、抵抗の高いスプリングが発熱して焼き切れてしまう可能性も出てきます。
以上から、スプリングに電流を流さないための工夫が行われています。そのひとつとしてプランジャーの後端(スプリングと接する部分)に傾斜をつける方法があります。この傾斜をつけることによってプランジャーに小さな傾きが生まれ、プランジャー自体がバレルの内壁に強く押し付けられることになります。この仕組みによって電流が抵抗の高いスプリングを通らずにプランジャーからバレルに流れるため、許容電流が向上します。
また、プローブの内部に伝導性ボール(バイアスボール)を組み込んで、プランジャーとバレル内部に均一な接圧点を供給するという方法もあります。この方法を用いることによって抵抗値のばらつきを低減できるようになり、長時間にわたる検査においても正確な電気測定に繋げる、といった技術も用いられています。
高温環境で標準プローブを使用した場合には、スプリングが熱により軟化してしまい、押し付ける力(荷重)が失われるケースがあります。この状況を防ぐには、素材の選定が重要なポイントであるといえます。
一般的に使用されているピアノ線は常温環境下では十分な荷重を維持できるものの、熱への耐性が低いという面があります。そのため150℃を超える環境の場合には、ステンレス鋼など耐熱性に優れた素材を使用することになります(場合によっては、より優れた耐熱性を持った素材を使用することもあります)。
このように、耐熱性の高い素材を使用したスプリングを採用することによって、過酷な温度環境でも安定した動作が可能になります。また、電流負荷によって温度が上昇したケースにおいても、測定結果のばらつきを最小限に抑えることができます。
また高温環境下でコンタクトプローブを使用する場合、上記のように耐熱性の高い素材を用いたスプリングを使用するほか、高温による部品表面の変質を抑えるために特殊な表面処理を施すといった対応も行われています。このことにより、熱による影響が少ないコンタクトプローブの提供が可能となります。
大電流・高電圧検査を行うにあたって安全性を確保するには、熱への対策が行われたプローブを用いることが必要になってきます。具体的には、検査時のプローブの発熱とスパークをいかに抑えるか、という点がポイントになってきますが、こちらの記事でご紹介したように、スプリングに電力を流さないようにする工夫や、高い熱耐性をもつ素材を採用するといったことが考えられます。このように、必要に応じて熱対策が行われたプローブを使用することにより、検査を行う際の事故を防ぎ、安全な検査の実施に繋げられます。
