コンタクトプローブのプランジャー(先端部分)や、バレル(外筒)に使用されている主な部品としては、「ベリリウム銅(BeCu)」と「SK4(炭素工具鋼)」が挙げられます。これらの材質はそれぞれ異なる特性を持っており、用途によって使い分けられています。
ベリリウム銅(BeCu)は、鋼合金の中でも優れた強度を持つ材質です。その一方、電気伝導率が高いという特徴も持っています。電気特性としては、低い電気抵抗値を実現できる点から、大電流用途や高周波用途に適しているといえます。硬度は熱処理を行うことでHRC38〜45程度まで達することができ、優れた耐摩耗性と機械的な強度を発揮。導電性・耐久性のバランスが良く一般的に使用されている点に加え、非電磁性である点も特徴です。
対して「SK4(炭素工具鋼)」は、硬度が高い材質です。硬度はHRC58~61程度であり、上記でご紹介しているベリリウム銅よりも硬く摩耗に強い点を特徴として持っています。ただし、電気特性についてはベリリウム銅と比較して電気抵抗値が高くなる傾向があります。また磁性体であるため磁気が影響する検査には不向きという点もあります。このような特性を持つことから、SK4は先端の摩耗耐性が求められるケースなどで選定されています。
コンタクトプローブにおいて、メッキ処理は通電の安定性を左右する重要な要素です。
もし銅合金や鋼といったプローブの基材が空気中に露出してしまった場合には表面に酸化被膜が形成されます。これが絶縁体になることによって通電を阻害します。この点から、科学的に安定した金属を使用してメッキ処理することによって酸化を防ぎ、長期にわたり低い接触抵抗を維持します。加えてメッキを行うことにより表面の平滑性が向上し、ワークとの接触面積を安定させる効果もあります。
メッキ処理の種類としては、主に「金メッキ」「ロジウムメッキ」が代表的といえます。
金は科学的に安定しており酸化しにくいことから一般的に使用されています。非常に低い接触抵抗を実現できるため、導電性が重視される場合に金メッキが採用されます。
また、ロジウムは金と比較すると硬度が高いことから摩耗に強いという特徴を持っています。また、はんだが付着しにくいという性質もあり、はんだメッキされたワークの検査を行う場合にゴミの付着による通電不良を防止するといった目的により使用されます。
膜厚については、製品の耐久グレードやメーカーの仕様によって異なるものの、一般的に高耐久プローブの場合、通常よりも金メッキの膜厚を厚くするなどの調整がされます。
コンタクトプローブを選ぶ場合には、検査対象(ワーク)の材質や表面の状態に合わせて選択することが大切です。もし、相性が悪いものを選定してしまった場合には、ワークへのダメージや導通不良につながる可能性があります。
例えば、金メッキや金パッドなど、柔らかく酸化膜がないワークの場合には、導通しやすい状態であるため、プローブの先端が鋭利である必要がないといえます。むしろワークを傷つけないように、丸い形状(ラウンド)や、平らな形状(フラット)、荷重を分散させる王冠型(クラウン)などの先端形状が選定されます。また、プローブ側のメッキには、接触抵抗が低く科学的にも安定している金メッキが推奨されます。
はんだやスズメッキなどの場合、表面に酸化膜や汚れがあるため、それらを物理的に突き破って金属面に到達することが求められます。この点から先端が鋭利な針状(ニードル)や、三角錐型(ピラミッド型)などを使用します。また、はんだはプローブ側に付着しやすい性質がありますが、堆積してしまうと導通不良につながります。このことから、はんだが付着しにくく、さらに硬度が高く摩耗にも強いロジウムメッキが施されたプローブを選定することが一般的となります。
OSP(水溶性プリフラックス)処理基板の場合には、有機被膜で銅箔が覆われている状態であるため、膜を貫通させる必要があります。はんだやスズメッキと同様に針状(ニードル)など鋭利な先端形状を持つプローブを選択することが求められます。
コンタクトプローブに使用される材質やメッキの種類、検査対象の材質と相性の良いプローブの選び方について解説を行ってきました。抵抗値を安定させるには、上記のように材質の組み合わせに注意を払う必要があります。検査対象はどのような性質を持つのか、それに合った材質のプローブを選択することが非常に重要といえます。
